「真夜中のフラメンコ」シリーズは、撮影したフィルムにスクラッチを入れ、その上に色を着色する。探し求めていた、この技法を用いたモチーフに出会ったのは、アンダルシアのセビジャのタブラオを訪れた時のことです。フラメンコダンサーの躍動感、揺れる衣装が目に入ると同時に舞台に渦巻くエネルギーが私には見えたのです。
踊り子が一回の舞台に全身全霊を注ぐように、制作する側にも緊張を持ちたかった。そこで撮影したオリジナル35ミリフィルムに直接傷と着色をする、今考えれば大変荒っぽい掟を自分にかせたのです。
実際には、貴重な数々のオリジナルフィルムをごみ箱に捨てる事になりました。このシリーズが、他の作品に比べて作品点数が限られているのもその為です。
撮影に惜しみない協力をして下さったコラール・デ・モレリアのオナー、故マヌエル・レイ氏に感謝をしております。